浮気の定理
夕方の6時半過ぎー―



自分の住む駅についた頃には、もう雪は止んでいた。



積もった雪は三センチくらいだろうか?



花がキャッキャッ言いながら、長靴でまだ真新しい雪の上を歩く。



これだけ積もる雪道を歩くのは、花にとって生まれて初めてのことだから、珍しいのかもしれない。



いつもは自転車の前に乗せて帰る家への道程は、徒歩であることと、花の足を考えると20分くらいかかるだろう。



夫の帰宅はいつも8時過ぎ。



――うん、まだ間に合う。
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