浮気の定理
そういう苦労はうちにはないものだ。



お金はきっちり夫が管理してくれているし、加えて夫はお金に細かい。



だから苦しいということもなく、預金だってきっちりしてくれているんだろう。



そう思えばこんな暮らしをさせてくれている夫に感謝しなくてはならない。



あれから、私は毎日彼を出迎え、彼の好物をこしらえ、彼と床を共にする。



それだけのことを狂わせることなくやっていれば、叱られることもない。



だとしたら一般的には、これを幸せと呼ぶんだろう。



私はきっと、誰よりも幸せなんだ。
< 270 / 730 >

この作品をシェア

pagetop