浮気の定理
「別にいんだぜ?その代わり旦那にバレてもいいんだな?
あの写真もあることだし、警察に行ったって、俺が合意の元だったって言えば、ただの痴話喧嘩だと思われて終わりだよ」



何も考えてないただの馬鹿かと思っていたら、その辺はちゃんと考えているらしい。



確かに痴情のもつれとかで、取り合ってくれないって聞いたことはある。



民事不介入ってやつだ。



私はますます逃げ場をなくして、迫ってくる水落を両手で押し戻しながら、顔を背けることしか出来なかった。



まだ雅人が自分に戻ってきてくれることを信じていた頃だ。
< 317 / 730 >

この作品をシェア

pagetop