浮気の定理
「ほんと、暑いくらいだね?失敗したかも」



ありさがベージュのライダースジャケットを暑そうに脱ぎ始める。



「花ちゃん、幼稚園どう?」



そう聞いたのは桃子だ。



淡いピンクの春らしいコートがよく似合ってるなと涼子は思う。



「うん、最初は泣いてたけど、だいぶ慣れたみたいで、楽しそうに行ってる」



「そっか、じゃあ涼子も自分の時間が少し増えるね?」



ありさにそう言われて、涼子は首を傾げた。



「自分の時間?」



「そ、旦那にも子供にも束縛されない時間」
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