浮気の定理
「そ、そうだよ。真由、考えすぎだってば
ありさは一般論で言っただけで、私のこと励ましてくれたんだよ?」



尻込みした涼子のあとを、桃子が拾って取り成してくれる。



真由は桃子にそう言われて、仕方ないといったように、ならいいけど……と言って、ありさから視線を外した。



蛇に睨まれた蛙のように固まっていたありさが、隣でホッとしたように息を吐くのがわかる。



桃子だけじゃなく、ありさもまた何かを抱えてるんだということだけは、みんな感じたんだと思った。



冷めたお茶を啜りながら、涼子はさっきから感じている、胸にひっかかるものがなんなのかを、ずっと考えていた。
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