浮気の定理
以前のような独りよがりなものではなく、私がちゃんと気持ちよくなってるかを確認するような、そんな優しい行為。



彼が私の中に入ってくる。



手術後、初めて受け入れるそれは正直怖かったけれど、ゆっくり無理せずにされたことで、恐怖は快感に変わった。



優しい優しいその行為に溺れながら、優しかったあの人を思い出していた。



その瞬間、和也の動きがピタッと止まる。



不思議に思って瞑っていた目をそっと開けると、彼はじっと私の顔を見ていた。



「なんか……お前……」



何か言いたげな顔をする和也に、私は困惑する。
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