浮気の定理
ならば最後まで嘘を突き通すことにしようと決心した。



彼には妊娠の事実を……



夫には自分の子ではないという事実を……



救えない命と自分自身のことだけに不幸は留めて、せめて彼らを傷つけないようにするために……



あの日のことを後悔はしていない。



私たちは確かにあの時、お互いを求めあってた。



ただ、その先にあるリスクを甘く見ていたんだと思う。



きっと結婚していなければ、こんな恋愛もどこかでしていたのかもしれない。



早すぎた結婚は、そんな経験をさせてはくれなかったのだ。
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