浮気の定理
そして今夜も布団に入るなり、和也が私の方に手を忍ばせてくる。



今は以前とは違った理由で拒むことが出来ない。



機嫌が悪くなるからではなく、後ろめたいからだ。



彼は私をそっと抱き寄せると、珍しくギュッと抱き締めてきた。



髪を撫でる和也の手は、すごく心地よくて……



思わず彼に体を預けた。



そのまま行為に及ぶんだと思っていたのに、和也はいつまでも私の髪を撫で続けてる。



どうしたんだろう?と顔を上げようとすると、彼の囁くような声が聞こえてきた。



「俺さ……ありさのこと、ちゃんと好きだからな?」
< 452 / 730 >

この作品をシェア

pagetop