浮気の定理
涙が出そうになった。



私にはそんなことを言ってもらえる資格はない。



和也を裏切って、そして欺いているのだ。



それなのに……



なんで変わっちゃったんだろう?



昔の和也にだったら、そんなに罪悪感を覚えなくてすんだのに……



優しくされればされるほど、自分の罪がどんどん深くなっていく気がする。



私はなにも答えることが出来なかった。



彼が話すのをただ黙って聞いているだけ。



彼に預けていた体がキュッと強張るのを感じる。



こんな気持ちのまま、彼に寄り添うことが、辛かったからかもしれない。
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