浮気の定理
そう口にしながら、せっかく培ってきた今までの苦労が水の泡になった気がした。



捨てられないように、一生懸命、いい娘でいようと努力した日々。



全部吐き出したことで空っぽになった私は、放心状態でその場にへたりこむ。



もうおしまいだ。



自分から壊してしまった。



そんな風に思ったときだった。



ふわりと何かに包まれたような感触がして、ハッとする。



我に返ると目の前に座っていたはずの父が、私を後ろから抱き締めていた。



私の肩に顔を乗せ、父は泣いていた。



肩越しに涙で湿ってくるのがわかる。
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