浮気の定理
「でも……桃子が……ﾋｯｸ」



「桃子には真由ちゃんがついてるから大丈夫でしょ？

だから俺はそんな真由ちゃんの傍にいるよ」



クスッと笑いながら、山本はそう言ってのけた。



だって桃子のためにあれだけのこと出来るの真由ちゃん以外いないから、なんて思い出したように吹き出す。



そんな山本を見ながら、私も思わず泣き笑いになっていた。



――いいのかな？信じてみても……



「今度、お父さんに挨拶に行くよ

そしたら安心するでしょ？

真由ちゃんもお父さんも、ねっ？」



「まだ付き合うなんて言ってないも「はいはい、わかったわかった」



まったく素直じゃないんだから……なんて呟いた山本は、もういつもの山本になってる。



それから彼は私の頭をポンポンといつものように優しく撫でて、にっこりと微笑んだ。
< 597 / 730 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop