浮気の定理
ありさが見えなくなるまで見送ると、真由が涼子を振り返る。



「迎え、呼んだからさ。もう少し待っててね?」



「え……あの、大丈夫だよ?もう一人で帰れるから

それにあんまり遅くもなれないし……」



涼子がそう遠慮すると、桃子がそっと耳打ちをする。



「真由の彼氏、来るから会ってあげてよ」



「え?迎えって、もしかして……」



「そ、真由の彼氏」



笑いながらそう言った桃子の声を聞きつけて、真由が慌てて遮ってくる。



「ちょっと、桃子!余計なこと言わないでよ」



「いいじゃない?本当のことなんだから」
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