浮気の定理
二人の様子が微笑ましくて、涼子も自然と笑顔になっていた。



もう少し一緒にいたいからと涼子は覚悟を決める。



少し遅くなってしまったとしても、真由の彼氏に会ってみたい気持ちの方が強かった。



「じゃあ……お願いするね?真由の彼氏にも会ってみたいし」



そう言っていたずらっ子のように微笑めば、真由は、だから、彼氏とか言わないでよと、恥ずかしそうに横を向いた。



自分にもこんな頃があったのかな?と涼子は思う。



彼のことを思うだけでドキドキしたり照れたり……



いつの間にか、怯えるだけの存在になってしまったことを、涼子は悲しむことしか出来ないでいた。



歪んだ愛情が重くのし掛かる日々。



まだその日常に戻りたくなくて、涼子は夫のことを頭からそっと追い出した。



そしてこれから会うはずの真由の彼氏がどんな人なのかを思い描いて少しだけ気持ちが明るくなっていた。
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