浮気の定理
「……もし、誰かにやられてるんだとしたら……

涼子、ちゃんと言って?じゃないと助けられない」



桃子が言葉を選びながら、そう言ってくる。



敢えて誰かにと言うことで、核心には触れない配慮をしてくれてるんだと思った。



だけど、真実を伝えて何が変わるんだろう?



私はこの期に及んでもまだ、花と勇の三人での生活を失いたくないと思ってた。



自分さえきちんとしてれば勇は優しい。



生活だって私が働かなくてもちゃんとやっていけるくらい、きちんと働いてくれている。



銀行での彼のポストはどんどん上がっているし、これ以上を望むのは贅沢なのかもしれないとさえ思うようになっていた。
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