浮気の定理
真由に言われたからなのかそうでないのかはわからないけれど、あっさり僕から俺になったことに笑いそうになる。



でも真剣に心配してくれてるのが伝わってきて、なんとかそれを堪えながら、ありがとうと微笑んだ。



「じゃあまたね?」



車から降りて窓越しにバイバイと手を振りながらそう言うと、桃子はまだ心配そうな顔で私を見ていた。



でも敢えて何も言わずに、小さく手を振り返す。



車が見えなくなるまで見送ってから、スイッチを切り替えて実家の玄関へと向かった。



ドアを開ける前に、チラリと腕時計に目をやると、まだ6時になったばかりだ。
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