浮気の定理
「……わかった、今…開けるね?」



仕方なくそう言ってから、玄関へと急ぐ。



カチャリとドアが開くと、申し訳なさそうな顔をしたありさが、緊張した面持ちで立っていた。



「どうぞ?」



目を合わせないままそう言って、部屋の奥へと歩いていく。



「おじゃまします」



ありさはそう言ってから、遠慮がちに私の後を付いてきた。



「お茶いれるから、その辺に座ってて?」



「あ……うん、ありがとう」



ありさがソファーに腰かけるのを見届けてから、私はキッチンへと入っていく。
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