浮気の定理
「それは……」



ありさはいつもと違う私の態度に戸惑うように言葉を濁す。



その様子がさらに私を苛々させた。



だから、言ってしまったんだ。



ありさが一番聞かれたくないだろうことを……



「流産したって言ってたけど、本当は違うってこと?」



「……っ!」



その言葉に声にならない声を出して、ありさは目を見開いた。



なんで知ってるんだと言わんばかりの顔で……



「涼子や真由も気づいてるわよ?

騙せてるって思ってるのはありさだけ」



それを聞いてありさの顔が歪む。



自分が嫌な女だってわかってても、一旦口に出してしまうと止まらなかった。
< 643 / 730 >

この作品をシェア

pagetop