浮気の定理
「……変なこと言ってごめんね?

ありさと和也さんが幸せなら……それでいいの」



そう……和也さんが幸せでいてくれればそれでいい。



彼もまた私の幸せを願ってくれていると思うから……



それに、八つ当たる場所を私は確実に間違えてる。



本来なら、勇に不満をぶつければいいのだ。



なのにそんなことも出来ないで、ありさを妬んで、彼女を傷つけるなんて……



「紅茶、ごちそうさま。すごく美味しかった……また来月、定例会でね?」



そう優しく言ってありさはリビングを後にした。



完敗だ……



ありさは覚悟を決めている。



だから、私の言葉にも揺らぐことなく、和也さんの子だと言い続けたに違いない。
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