浮気の定理
「いいパパじゃない?」



真由がもやしやキャベツを頬張りながらそう言うと、ありさは照れ臭そうに笑った。



「そうだね?うん、いいパパだし、いい旦那だと思う

感謝してるんだぁ、これでも」



ありさの視線はさりげなく涼子の方を向いている。



それがなんだか、ちゃんと大事にしてるからね?って言ってるような気がして、涼子は頬を緩ませた。



「良かったね?」



そう一言だけ伝えると、ありさは少し目を潤ませながら、うんと小さく頷く。



二人だけしかわからないいろんな会話が、そこに含まれているような気がした。
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