悪魔の運動会


【間宮旬】


「それでは準備が整いましたので、校庭にお集まり下さい」


声に従い、俺たちは重苦しい教室から出た。


秋晴れの空が、やけに眩しく感じられる。


校庭には、さっきまでなかった【障害物】がいくつも設置されていた。


力比べや数を競うんじゃなく、ようやく競争と呼べる競技だ。


そして俺たち紅組からは、世古佳恵と植松理沙が居なくなった。寺脇リカの仕業だ。そしてイジメられた仕返しに、次は相原友子を落とすと宣言した。


無記名投票どころか、チームが完全にバラバラだ。


まだ鼻を啜っている相原とは対照的に、リカは不敵な笑みを浮かべている。


それまで顔も見えないくらい、個性すら埋もれていたのに、投票が進むにつれ、どんどんと自信をつけていくように見える。


一方、白組は「やってやんぜ‼︎」と息巻く戸田裕貴を筆頭に、少しずつチームがまとまり出している気がする。


もうこれ以上は負けられない。


でももし負けたら__次は投票するしかない。直人が言う理想論は通用しないからだ。


同じ仲間内でいがみ合いながら共に闘うのは、精神的な疲労度が高い。


俺も体が鉛のように重かった。


「それでは各チーム、男女2名ずつ選出して下さい。男女関わらず、1着でゴールした組を勝利とします」



< 129 / 453 >

この作品をシェア

pagetop