悪魔の運動会
しかし、すぐに後悔した。
不登校だった斉木真一が、目の前で毒死したからだ。
奈々と抱き合い震え上がる。でも紅組の相原友子が駆け出したのをキッカケに、競技に戻った。
薫の言う通りだからだ。
今も目に焼き付いている__信吾の大きな背中が。
もし私が失格になれば、すべてが無駄になってしまう。名誉を挽回しないといけない。女王の威厳も。
三輪車に乗り、すぐにコツをつかんだ私は、女子のトップに躍り出た。
そのまま網の中に体を滑り込ませる。
この私が地面に這い蹲(つくば)るだなんて‼︎こんな許し難い事があっていいか⁉︎
怒りを原動力とし、抱き合っている男3人を横目に突き進む。
「相原、頼んだぞ‼︎」
安藤直人の掛け声で、相原友子がすぐ後ろに迫っているのが分かった。
「おい樋口‼︎トップ取れよ‼︎」
戸田裕貴の激励を華麗に無視し、網から抜け出た。
「ちょっと離してよ‼︎」
同じく網地獄から出かかっていた相原友子が、足をバタつかせて叫んでいる。
どうやら、裕貴が足首を掴んで邪魔しているようだ。
その脇を奈々が通り抜ける。
2人で駆けた先には、壁が待ち構えていた。
どうやっても1人の力では登れない。
「奈々、屈んで‼︎」
私は奈々の背に足を乗せようと、壁に手をついた。
「ちょっと‼︎早くしなさいよ‼︎」
「__美咲?」
「なによ‼︎早く屈みなさい‼︎」