悪魔の運動会
【立花薫】
私は、うさぎの外側に回った。
このままモタモタして、撃たれでもしたらたまったもんじゃない。
着ぐるみとはいっても、手を握るわけだ。
ごつい手を、これでもかと握ってやった。
音楽の区切りまで待って、ステップを踏み出す。
「左、左、右、右」
ご丁寧にも、指導の声が入った。
うっかり忘れていた私も、迷うことなく進んでいく。
「左、右、左、右」
うさぎもしっかりした足取りだったが、どこか不安げなようにも感じた。
「前、後ろ、回ってお辞儀、はい交代」
リズムよく、次の男子の手を取る。
すぐに舌打ちが聞こえた。
「悪かったわね、私で」
「お前、でけーんだよ」
戸田裕貴は、さも無気力に踊る。
エスコート感なんてゼロだ。でも敵に回すと怖い。
同じチームで、手のひらの上で転がしておくのが1番いい。
「じゃな」
すぐに次の男子に交代する。
男女1組ずつが、うさぎも入れて実質6組しか居ない。
全校生徒で踊ったキャンプファイヤーからすれば、少な過ぎて忙しない。
くるくるくるくると、小さな円が回っていくだけだ。
ほら、もうウサギが回ってきた。
果たしてこのダンスに、一体なんの意味があるのだろう?