悪魔の運動会


__っ⁉︎


俺と周平は、驚いてお互いの目を見合わせた。


次の瞬間。


ブワッ。


消えたはずの炎が、周平を包み込む。


繋いでいたはずの手が離れた。俺が思わず手を離してしまったんだ。


「うあああぁぁぁぁぁーっ‼︎」


地面にのたうち回る周平が、この世のものとは思えない断末魔の叫びを上げる。


「は、早く消してくれ‼︎」


俺は動物達に訴えた。


こうなることが分かっていたのか、いつの間にか消火器を携えている。


「早くしろって‼︎」


犬から消火器を奪おうと手を伸ばしたが、隣にいたウサギが慌てて火を消しにかかる。


四方から煙を浴びせられた周平は、うつ伏せのまま全く動かない。


「周平__」


フラフラと惹き寄せられように、俺は周平__であったものの傍に膝をついた。


俺のせいだ。


俺が、勝ちにこだわったから。


だから周平は__?


「ちゃんとゴールラインを踏んだじゃないか‼︎」


ムカデがラインに触れ、火は間一髪のところで消えたはずだった。


それなのに失格なんて。


「ゴールラインをムカデが越えれば、と説明しました。ムカデは百の足。全員の足が越えていなければ、火は消えません」


抑揚のない声で告げたのは、覆ることない事実。


俺のせいだ。


俺の__。






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