悪魔の運動会


野々村哲也は、私と間宮くん、そして木崎さんが結託していると思っている。


3人で【野々村哲也】に投票すると。


でも、もしかしたら木崎さんが今まで通り、自分に入れるかもしれない。


そうしたら、票は2票ずつ。


あとは樋口美咲の1票が鍵となる。


美咲はどっちに転ぶか分からない。下手に頼み込むと逆効果だ。


それなら、無記名投票を辞めさせるほうが話が早い。


涼子が野々村に入れれば、美咲の票に左右されることなく野々村哲也が失格となる。


だから__。


それを彼が望んでいるから。


私は彼の支えだから。これまでも、これからも。


「__ごめんなさい、それはできない」


「えっ⁉︎」


「私は自分に投票する。ごめんなさい」


私に謝る涼子の目に、一点の曇りもない。それどころか、私は自分が濁っていると感じた。感じさせられた。


「なに言ってるの⁉︎自分が落ちるかも分からないのよ?」


「それでも私は__」


「そんなのおかしい‼︎」


つい大声で叫んでしまった。前を行く3人が振り返っている。


教室はもうすぐそこだ。


投票が始まる。


涼子に2票が入ると決まっている、投票が__。



< 255 / 453 >

この作品をシェア

pagetop