悪魔の運動会
【木崎涼子】
「てめぇ、やる気あんのかよ⁉︎」
そう毒を吐き、私からバトンを引ったくる。
ただ力なく走るだけ。差を広げるどころか、半周以上あったリードが無くなりつつあった。
裕貴が怒るのも無理はない。
紅組より1人多いはずなのに、私と美咲の2人が手加減しているのは見え見えだからだ。
紅も白も関係がない。
いつしかこのリレーは、組対抗から様変わりしていた。
私たち5人対戸田裕貴。
それでも裕貴は1人で走る体力はない。一周差をつけることはできない。私たちの走力が必須だ。
かといって__。
直人が駆けてくる、その表情は苦悶に満ちていた。
このままどうなるのか?
辺りは暗くなり、グラウンドの照明が煌々と走者を照らし出す。
夜が明けるまで走り続けるのか?
誰か1人になるまで?
あと4人、爆発するまで?
そんな思いが自然と足を重たくする。
もう終わらせたい、終わりにしたい。
そう思っても、走らないといけない。
走らないといけないのに__。
薫が、走るのをやめた。
歩き出したんだ。