スタードロップス
ガララッ──…


急に聞こえた、聞こえるはずがない音に
肩をビクンッと揺らしたのは、
言うまでもない。


その音、旧音楽室の扉を開けた音が
した方に視線を合わせる。


その犯人とパチッと目が合った。


「えっと、どちら様ですか…?」
と戸惑いながら言うと、


「俺?俺は桜庭洸星。
ところで、君は…
七瀬星那…で合ってる?」


「なんで…」


「それより、今弾いてたの、
俺に聞かせてよ。」


「え…?」


半ば強引にピアノを弾かされかける。


「弾くわけ、ないじゃないですか。」


しかも、あれだけ恐れていた人前で。


「なんで?君の音、綺麗だったのに。」


ズキッ…


この人は人の心に勝手に入ってきて、
傷を抉る。


私はこの人が…






苦手だ。


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