恵まれた婚約者がいるのに
ひとりの男性を好きになってしまった主人公。

時代物ですが
現代にも通じるものがあると思います。

手の届かない相手が、急に運命のいたずらとも思える状況になって、結婚する可能性ができたとしたらどうします？
でも相手には想う人がいる。
けどその恋は浪人と花魁なので報われない。だったら自分が一緒になるほうが彼の為になる。

色んな想いに押しつぶされ
こわれてゆく過程に鬼気迫るものがあります。
武家の娘としてのプライド
自分の良心
全てわかっているけれど、恋に憑りつかれた女は制御不能です。
しっかりとした時代小説です。
面白かったです。

武家娘と浪人
そして花魁
それぞれの思いがあり
それぞれの立場もあり
その出会いは偶然？
その運命は必然？
それぞれがそれぞれに
出会うべくして出会ったのか
絡み合う運命が手繰り寄せあったのか
全ては一人の女の執念、狂気
狂おしいほどに求め、足掻き
そして、辿り着く先は
永遠のーーー
読み進めるうちに
どんどん追い込まれていく状況に
気付けば息をも止めてしまうくらい
物語に惹き込まれています。
是非、人を思う気持ちの深さと怖さ
感じて欲しいです。
お薦めします。