先輩、大好きです。
お節介かもしれないが、毎日、校門で裕翔先輩と優奈先輩を見るのが日課だったりする。
ニコニコ微笑む笑顔が好き。
私には見せてくれないその笑顔が好き。
はにかんだ時に見せる白い歯が好き。
…っ、好きなんだよ、先輩。
嘘じゃないよ、勘違いじゃないよ。
先輩は…残酷だね。
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告白した日。
私は震える手を握りしめ、裕翔先輩を待った。
ガラガラ…と音をたて開いたドアの先には夕陽で陰る裕翔先輩がいた。
想いを、伝えるだけ。
こぼれそうになる涙を何とかこらえ、裕翔先輩の目を見た。
「ーーすきです、あのひからずっと。」
助けてくれた時のLemonの香りが私は今でも忘れられない。
何故かいまは香らないあの香が。
そんな私に先輩は言葉を放った。
その言葉はどんな言葉よりも、、
残酷でした。
「ごめん。
でも、多分勘違い。
ちょっと優しくされたから勘違いしとるだけ。
やから忘れて。俺のことなんか。」
勘違いなはずがない。
こんなにも苦しいのに。
「…いいえ。
勘違いなんかじゃありません。
私はっ…私は、、。
先輩に彼女がいるって知ってて告白しました。
それなりにケジメを付けたかったんです。
だから先輩もありがとう、ごめんね、それだけ言ってくれれば良かったのに…。
忘れろだなんて酷いです。
俺のことなんか…なんて言わないでください。
私の初めて好きになった人に、そんなこと…。言わないでください。」
今考えればおかしなことを言っていた。
そんなことを考えることも出来ないほど、先輩に夢中だった。