先輩、大好きです。
「あっ、優奈先輩…。」
先に2人を見つけたのは私だった。
その声に、裕翔先輩は固まった。
もう、二度と会いたくなかったヒトもいる。
「…優奈先輩、金沢先輩。
お久しぶりです。」
「由奈ちゃん、久しぶり。」
「由奈ちゃん、この前はありがとう」
この2人に、私は惑わされ、グシャグシャになるまでかき回された。
それなのになぜ、羨ましいと思ってしまうのだろう。
「金沢先輩、いえいえです。
あのことはもう…忘れてください。」
そう、耳元で呟く。
それに、金沢先輩はこくんと頷いた。
頷いたのを確認し、私は裕翔先輩の横に並んだ。
「私たち、付き合い始めました。
どうぞ、これからよろしくお願いします。」
何も言わない裕翔先輩を見る。
辛い、それしかないよ。
「うん、よろしくね!」
「よろしくな」
そう言い、手を振りながら去っていく2人を見送り、私ははっと息を呑む。
あんなこと言っちゃったけど、裕翔先輩、怒ってないかな?
そう思うと、いてもたってもいられなくなった。