3年後、あの約束の続き
「ごめんなさい。実は前に、火事にあったことがあるんです。今でもトラウマで・・・サイレンがどうしてもダメなんです」

俯き答えると、章は私の頭に手をやる。



そして‐ぐっと章の方へ引き寄せられる。


「他には?」

章の瞳には、私の顔が写っている。
私は必死に言葉を探す。

それでも‐この言葉しか出てこない。


「ごめんなさい」


俯く私に、章はたたみかける。
「謝るってことは、何かあるんだね」


「いや・・・あ・・・」


「俺は知りたいだけだ。君の過去に何があったか」



どうしよう。もう言葉が出てこない。


「何か言えない理由は、あるのかい?」



どうしよう。何を言えばいいのだろう。
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