3年後、あの約束の続き
とりあえず、両親が落ち着いてきたので、ダイニングにみんな座らせる。


お母さんは泣き終わるのを待って、翔太の事を話し始めた。
「いや・・・本当にね、40歳過ぎてもう1人授かるとは思ってなくて」


「ん?てことは・・・?」
章は私の顔を見た。


「そう。17歳差の弟」
翔太は私の年の離れた弟なのだ。



事件があった『あの日』のことを、もう少し詳しく話すと・・・こうだ。

あの日母が行った病院は『産婦人科』で、ちょうど安定期に入ろうとしている時だった。
そして東京のデパートに出かけた理由も『ベビー用品を買う為』
事件を聞いた母が『お腹を打ち付けて入院』も、『打ち付けたのとショックで出血が止まらなくなったから』であった。


あの日の大修羅場は、お父さんだったのかも知れない。
買った家は焼かれ、娘は危篤状態。
妻はショックで倒れ、お腹の子供も危ない。
一気に家族全員が居なくなる恐怖と戦っていたのだった。




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