3年後、あの約束の続き
「大丈夫だよ、ごめんね」


誰かが私をそっと抱き締めて、耳元で囁く。

顔を上げると、見慣れた顔。


「章・・・」



「2人とも離れて!!」

スガさんの叫ぶ声。
声のする方向には、なぎ倒された『あの人』


数歩離れると、到着したエレベーターから警官がなだれ込んできた。
そしてあっという間に手錠をかけられて、拘束された。

それでも暴れる『あの人』に、誰かが近づいた。


「坊っちゃん、もう辞めましょう。逃げ場はありません」

低い年配男性の声。
あの先生だ。

「うるさいっ!!只の弁護士の分際で!!!」


「お前のことは、もう庇わない」
更にドスの効いた低い声。


「もう辞職は覚悟している。お前も弟も道連れだ」


その声を聞くと‐ピタリと動きが止まる。
その隙に警官に担がれて非常階段に消えていった。

そして声の主は振り返り、私達に近づく。


「君はあの時の子だね。まさか見つけるとは」
そして章の前に立ち、静かに頭を下げた。

「大人の事情に巻き込んですまなかった」


深々と頭を下げ終わると、振り向き非常階段へと消えて行った。
弁護士の先生も一緒に。
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