散る桜
32


あの日、彼女の遺影の前で呆然と立ち尽くしたわたしに、あの子の分まで生きて、と彼女の母親が言った。

わたしには、答える言葉すら、見つからなかった。


「しいちゃんがそんなことを言ったら、その子は、本当にひとりぼっちになってしまうわね」

「でも!わたしは何もできなかったんだよ。わたしなんか、消えてしまえばいいんだ」


「しいちゃんが、覚えててあげたらいいじゃない。その子がどんなに素敵な子だったのか」

「おばあちゃんに、わたしの気持ちがわかるわけない!!」


わたしは祖母の優しい手を振り払って、叫んだ。
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