誓いのキスをもう一度
不幸や厄って、重なるものなのだろうか。
母がホスピスに入って2週間程経った頃、弟の怜人(れいと)が、撮影中事故に遭ったという知らせを受けた私は、驚きと動揺を隠せないまま、取るものもとりあえずといった感じで、東京へ行った。

病室に寝ている怜人は、顔と体のあちこちに包帯を巻かれ、足をつられている状態だ。
けれど私がやって来たのを見て、「ごめん、千与」というだけの“元気”はあった。

「“ごめん”じゃないでしょ。もう・・」
「分かった分かった。泣かなくていいから。見た目派手だけど大したことない。とにかく来てくれてありがと」

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