誓いのキスをもう一度
「なんで・・」
「チョコちゃん、最近元気なさげに見えるったい。だけん、なんか気晴らしが必要って思ったと。俺は日曜しか店休みじゃないけんさ、チョコちゃんが仕事なかったら、一緒に海いかんね?でっかい海ば見たらスカーッとするけん」

いくら意地を張っても、福岡と東京を行き来する生活に、慣れそうで慣れない。
日に日に弱っていく母を、ただ看ることしかできないことに、自分の無力さを感じて。
まだ身動きが取れない弟の姿を見ることが辛くて。
意地を張ることで、自分を奮い立たせてはいるつもりだけど・・・実際、それは簡単に折れてしまうくらい、脆いものでしかない。
それだけに、俊朗太さんの誘いは私の心にジンと染み入ったくらい、とても嬉しかった。

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