誓いのキスをもう一度
私は俊朗太さんを再び仰ぎ見た。
涙に濡れた顔は、きっと見苦しいに違いない。
でも、彼に苦しい胸の内を話してしまったおかげか、今の私の心は、逆に清々しい。

「チョコちゃんが今、大変な状況下にいるっちゅーことはよく分かった。でもな、介護中の身でも、恋愛しちゃいかんっちゅーことはなか。自分の気持ちを犠牲にする必要もなか。俺も出来る限り手伝うけん。一緒にがんばろう」
「・・っ。ありが、と・・ぅ。ありがとう。俊朗太さん」

止まったはずの涙が、また溢れ出てきた。
それでも私は、俊朗太さんの胸板を借りずに、一歩引いた。そして・・・。

「さよなら」と笑顔で言った。

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