誓いのキスをもう一度
母には「ポルタ」のプリンを食べさせてあげたかった。
でも、俊朗太さんと「お別れ」をしてから私は、「ポルタ」には行かなかった。
彼に会わないために。

こんなことで悪い意地を張って。一体どこまで親不孝な娘なんだろう、私は。
でも・・・もうその頃から食欲がほとんどなくなっていた母は、「ポルタ」の小さめなプリンを1つ完食することすらできなくなっていた、というのが現状だった。

出口の見えない闇の中をさまようことに疲れきっていた私は、もうこんな生活終わりにしたいと何度も思った。
でもそれは、母の死を意味する。
ということは、私は母が死んでくれればいいと、心のどこかで密かに願っていたことになる。

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