Haru Koi
~ 新しい記憶 ~
遥哉から話を聞いて1週間が経った
私はまだ信じられないままだ

重い足取りで教室に入ると
いつものように遥哉が私の席の隣に座っていた。

「遥哉、おはよう」

「咲菜ちゃん、おはよ」

「咲菜でいいよ。昔咲菜だったし!」

「そうなんだ。じゃあそうする。」

私が少しずつ遥哉の記憶を蘇らせることってできないのかな。
楽しかった頃のあの記憶を遥哉に思い出してほしい。

「遥哉、昔の話してあげよっか!」

「どうせ忘れるよ?」

「いいのいいの!聞いてよ私達の思い出」

「わかったよ。」

…何分喋ったか分からないぐらい
私は遥哉との思い出を延々と喋り続けた。
話をしている時、遥哉はどこか寂しげな顔をしていた気がする。

「楽しそうだな、俺らの思い出」

「すごい楽しかったよ。一番の思い出」

「そっか。俺も思い出したいよ」

「遥哉、昔の思い出が思い出せないならどんどん私と新しい記憶を作っていこうよ」

「だから俺は…」

「忘れたらまた作ればいいんだよ!」

「俺はもう忘れるのが怖いんだ。」

「私は遥哉に何度忘れられても大丈夫だよ。私が絶対遥哉のこと忘れないから。」

「ごめんな。」

「だから私が遥哉の中に新しく刻んでいくよ。すっごい楽しい思い出!」

「うん。そうだな。ありがとう。」

遥哉と再会してから初めて ''ありがとう'' って言われたから私は頑張る決意をした。

何度忘れられても私は遥哉の記憶を完全になくならせない。楽しくてキラキラした思い出をずっと作っていこう。
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