あなたを好きにならないための三箇条
イケメンのお家





最低だ。私





自分の過去に囚われて取り乱してしまった

空はそれを自分のせいだと自身を責めて
謝ってくれたけど、そんなの違う


全部、私のせい


あの日、強くなりたいと願った日

どうしたらいいか必死に考えて考えて考えて



今まで頑張ってきたのに。



空の笑顔とか
優しさとか
約束は絶対に守ってくれる切実さとか

あぁ、格好いいなって

不意に思ってしまった。
男はいつも女子が本当に望む答えを理解しない

男らしく引っ張って欲しいのに
守って欲しいのに

背を向けられてしまう。



優しくして欲しいのに
抱きしめて欲しいだけなのに

キスして自分のしたいことばかり。





知ってたのに私は
「きっと来ない」なんて言って
『来て欲しい』と思ってた。



もしも来なかったら理由もなく失望してた。
やっぱりな…って。



でも空は来てくれた
それが当たり前かとでも言うように。



きっと、私は嬉しかった

だから
空の

私よりも大きい手に
私よりも強い力に

驚くことに心臓が騒いだ




漫画の中でヒロインが主人公にときめくような、そんな感じ





でもこれは恋じゃない
恋な訳ない




それでも
つい最近会ったばかりで
空のことなんて全然知らないのに
心臓が激しく揺れたのはどうして?





自分で自分がわからなくなった





もしも、空を好きになったらどうしようと
焦ったし
困った。

それに怖くなった




優しいはずの空の手に恐怖を感じた




そしたら体が動かなくなってた

頭の中が“あの日”でいっぱいになっていった。



頭の中が真っ白なのに
全身が陰で覆われたように黒く見えて

泥沼にはまってしまったかのように息が出来なかった








…気がついたら、紗奈が泣いてた








空は気づいていなかったのかもしれないけれど
人前では泣かない紗奈が
目元に溜まる涙を必死にこらえていた



空は…うつむいてた



こんなにも2人を追い詰めたのは…私



泥沼の中悟った
“私はきっと一生恋ができないのかもしれない”
なんて
もうどうでもよくなってしまった



2人の顔を見たら自分が恨めしくなった



弱い自分が一層嫌いになった







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