あなたを好きにならないための三箇条
イケメンになると決めた


誰かを守れるような、王子様みたいな
紳士的で優しい人に。


もともと切れ長の目の私は男としてなら端正な顔立ちをしているらしく
幼い頃から可愛いとは言われなかったが綺麗だとは褒められることがあった

そのときは純粋に嬉しかったし
可愛い女の子に憧れた


でも、
格好いい方が似合うらしい


事実告白された回数は両手では数え切れない
そのほとんどが女子で…。


女の子を守るためにイケメンになりたいのだからそれでいいのかもしれない

出来る限り相手が傷つかないように断って振舞って。



頑張ってきた



男友達だって普通に会話することができるようになったし
怖いとは思わなくなった





のに、





ねぇ、






私、弱いよ






こんなにも






強く、なりたいのに







「…っ……ぁ」




空が帰って
紗奈が部屋から出ていって

一人きりになったとき

後悔と恐怖と失望で
涙が止まらなかった



声を出さないように



叫んだ
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