秘密の会議は土曜日に
しかし会議の場所に来てみると、なんということか店員さんに入店を断られてしまった。


「お客様、当店へのお立ち入りはちょっと……」


ジャージよりはマシな気がしたので、ボランティアスタッフ用のパーカー、これは絵具で塗ったような青地に『月島こどもプログラミング教室』と大きな文字で書いてある。

それにチノパンをはいて会議に臨んだものの、開催場所に入ることすらできないなんて。


店の前で思案していると、すぐに高柳様がいらしてしまった。


「入店断られたんですか?

……忠実にいつもの休日の服装を再現してみた、と。

ははっ、やっぱりあなたは面白いですね。何だかその服だと理緒さんも子供に見える。ドレスコードで引っ掛かったのか、年齢制限で引っ掛かったのか、くくっ。」



「誠に申し訳ございません……」


「全然大丈夫です。幸いすぐ近くに服も売ってるし。」


高柳様に連れられてお洒落オーラが漂うお店に入る。私には異次元過ぎて入り口で固まっていると、高柳様がワンピースをひとつ手に取って店員さんに渡した。


「そのまま着て帰るのでタグを取って貰えますか?それと、この服に合う小物類も一式持ってきて下さい。」


「かしこまりました。ではお連れ様はフィッティングへどうぞ。」


「ひゃ!?」

店員さんにワンピース、タイツ、ヒールの高い靴、モコモコとした長いカーディガンを渡されて、ひとまず急いで着替える。


値札が取られているので値段がわからないけど、ここの洋服は普段私が着る服とは桁がひとつ違う気がした。


それにこれはなんと言うか……、ゆるふわ?

今時そんな言葉は古いかもしれないけど、このお店の服は可愛い人が着る前提で作られてるような気がする。


やたらと体の線が出るワンピースを身に付けて試着室の鏡に移る自分を眺めると、ハメコミ写真のような違和感にがっくりとため息をつく。
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