秘密の会議は土曜日に
「あの人達を注意したところで、あなたの意識を変えないときっと意味無いんですよね。」


豪華な料亭の個室に通される時には、高柳様の眉間にはくっきりとシワが刻まれていた。先程からご機嫌斜めのご様子である。


そんな高柳様は、飲み物のオーダーを済ませると本日の会議の開催を宣言される。


「今日の打ち合わせですが、具体的に目標を決めたいと思います。」


「はいっ。」


明確な目的が決まっているのは意義のある会議の条件だと聞いたことがある。プロジェクトメンバーとしては全力で臨むべきだ。



「敬語というのは相手を敬う意図もありますが、相手との距離感を出す意味合いが大きいものです。親睦を図るには邪魔なんですよね。

だから土曜日に敬語を使うのは禁止。」



「えぇっ!?しかし高柳様……」


「タカヤナギサマ、というのも禁止。そう呼んでる限り絶対敬語になるよね。」


「……分かりました、閣下。」


「『分かりました』ってソレ何もわかってないからな?

言っとくけど5回違反したらペナルティー課すから。今一回違反したから、残り4回。」


「ひえっ……ですが閣下、私は基本的に全人類に敬語で話しておりこれは変更し難く……」


「そんなの知るか。残り3回。」


「閣下ーー!」


口調の変更とともに閣下は意地悪になってしまわれたようで、先程までのお優しい雰囲気は霧散している。口の端を吊り上げてお笑いになるご様子は、まさに鬼畜皇帝といった様相を呈している。
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