秘密の会議は土曜日に
「挙動不振。高柳さんのことじろじろ見すぎ。」


「眼鏡かけてたの初めて見たもので、つい。」


「あの人の眼鏡は珍しくないだろ、会社に泊まった翌日はコンタクトじゃなくて眼鏡になんの。」


「ほほう……泊まり込みでお仕事をなさっていたとは……」


閣下はあのパーティーに出席した後まで残業してたんだ。きっと疲れてる筈なのに、いつもと同じようにキリッとしてるなんてさすがだ。



「田中、昼飯まだなら一緒に行かねー?

うちのカフェテリア……まぁ社食みたいなもんだけど、けっこう旨いから。」


鴻上くんに連れて来てもらったカフェテリアはこのビルの最上階にあり、私の社食のイメージを完全に裏切るお洒落な空間だった。テラス席やラウンジスペースでお茶を飲んでる人たちもいる。


「美味しそうなものがいっぱい……!」


いろんな食べ物に目移りしながら担々麺とマンゴープリン選んで席に着くと、鴻上くんが顔をしかめる。


「それ、さっきまで胃もたれとか言ってた奴の食事かよ。
……あ、あの席!高柳さん一人で休憩中だ!俺たちも行くぞ。」



「え!?どうして!」


「あの皇帝の素顔を覗くチャンスじゃねーか。お前もイケメン二人に囲まれて食事できたら幸せだろ?」


鴻上くんはスタスタと閣下に近付いて「ここいいですかー?」と席に座る。私もその隣に座ると閣下と目があった。どういうわけか眉間の皺が深い。
< 72 / 147 >

この作品をシェア

pagetop