秘密の会議は土曜日に
キラキラと弾ける視界。目の前には大好きな人の瞳が見える。


「閣下ぁー!もっとナデナデして欲しいれふ。さっきみたいにフワフワーって。」


「……え。」


瞳に困惑の色が浮かんだのを見て、楽しくなって足をバタバタさせてみる。


「いい匂いしまふー。ふふふ」


首筋に顔を好きなだけスリスリして、ぎゅーっとしがみつくと閣下が慌てたように身を引いてしまう。


「こら、待て。急に酔うな!」


「酔ってないれふよー?それより、ナデナデれふ。早くしてくだふぁい。」


「馬鹿、その格好で警戒もせずに近付くな。こんな……知らないからな。」


背中に柔らかな手の感触がしてぞわぞわと痺れる。でもそれは控えめに触ると、すぐに離れてしまった。


「んっ、キモチ……い。もっとお願いしまふ。こっちも、さっきみたいに」


自分の太ももに閣下の手を引っ張る。するとお願いした通りに柔らかく撫でてくれたので、体が蕩けた。くすぐったく痺れるような感覚で、時々ビクッと震える。


「んっ……。くふふ、自分が猫になったみたいでシアワセ……」


「お願いだから、酔いから目を覚ましてくれ。こんなの限界だから……」


「嫌でふ、もっとそばにいてくらふぁい。」


身体を離そうとする閣下にくっついて、お布団の中に閉じ込める。至近距離で閣下の顔を見上げると、綺麗な形の唇に吸い寄せられた。


「ちゅー……?」


「駄目だしてやらない。どんだけ泥酔してるんだ。この酔っぱらい。」


「むー。閣下のけち。

今日会えるなんて思ってなかったから、嬉しくて、くっついてたいだけなのに」


「俺も、会えて嬉しいよ。

色んな呼び方をするけど、デフォルトは結局『閣下』なんだな……。」


困ったように笑う顔が優しくて、見ているだけで堪らない気持ちになる。もっとずっと近くにいたい。体温を感じられるくらいに近くに。


「ちゅーしてくれないなら、ぎゅーっとしてくらふぁい。命令れふ。」


そう言うと耳元で「酔いが覚めたら説教だ」と言われて、でも優しく抱き締めてくれた上に、ナデナデもしてくれる。キャミソールの内側から撫でられると、気持ちよくて背中が反った。


「はぁ………は……ぁ……」


「その反応……煽るだけ煽って、理緒は鬼か」


「ぁ……っ、鬼は閣下の渾名れしょ?私に言われても困りまふ。

温かくて良い気持ち……りっくんが添い寝してくれるときみたい」


「……誰?りっくんて」


「りっくんはりっくんれふ。ツンデレでキュートなんでふ」


「そういうの良いから、そいつは何者?理緒の何?」


「むみゅ……ぐー……」


フワフワと気持ちいい体温にくるまれて、それきり私の意識は落ちた。「理緒!」と呼ぶ声を聞いた気がするけど、気のせいかもしれない。
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