私と貴方
8❀✿あれから

···蛍斗①


螢斗・・・

義兄が玄関を出て行ってから
俺は、しばらく動けなかった。

義兄から言われた言葉が
頭の中でぐるぐると
回っていた。

俺は·····
柚子が嫌だったのか?
柚子との生活は癒しに
なっていたのではないか?
なら·····どうして

まとまらない頭に
アルコールを流し
呑んでも、呑んでも酔わないと
思っていたら
眠ってしまっていた。

目を覚ますと
外が明るくて····驚き
柚子は、なぜ起こして·····
と、思い····
居ないんだ·····と。

ノロノロと動き
携帯を見ると
かなりの着信が·····
全て市川からだった。

俺は、今、市川の声を聞く気にならず
会社に連絡をして
体調が悪くて連絡か遅れて
しまった事を伝えて
休みをお願いした。

それから家の査定を
どうしたら良いのか
わからずに不動産屋に
訊ねてみた。
良心的な人で
査定を行ってくれる事に。

二、三日内に報告をしてくれる
らしいが、彼は
二、三軒査定をお願いするのが
普通だと言ったが
俺は、彼だけで良いと思った。

こんな俺に
良心的に接してくれる
彼に胸が詰まる思いだった。

不動産屋の彼が帰ると
俺は、家の中を見て回った。
不動産屋の彼に
「綺麗に使用されていますね。」
と、何度も言われた。

全て、柚子がやってくれていた。
俺は、いつから
柚子を軽視していたんだろう

子供達の誕生日
俺の誕生日
ひな祭り
端午の節句
父親の日
母の日
柚子の誕生日
クリスマス
お正月

四人で楽しく過ごした。
子供達の笑顔が·····
柚子の笑顔が····

なんと······情けないんだ

  俺は······



そんな·····俺に······

翌日······会社で
大変な事が待っていた·····

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