私と貴方

···蛍斗④


柚子がいなくなってから
家の中は荒れていった。

自分のやってきた事
発した言葉が
どれだけ······柚子を····
子供達を··傷つけたのか
本当に····情けない男だ。

与えられた休みに
不動産屋の彼に
家を売る手続きをして貰い
金額か決まったら直ぐ
葉山弁護士に連絡をした。

あちらからも
財産分与の金額を知らされた。

家に有る子供達の物は、
思い出のあるものかも
しれないから処分して良いか
訊いてもらう事にした。

手続き等で、あちこちしている時に
柚子らしき人を見た。

柚子は、にこやかに話ながら
女の人と二人で歩いていた。

その表情は、
俺が見たことない顔で
本当に心から楽しんでいる
ように見えた、
そして・・なんとも綺麗だった。

元義兄の葉山弁護士から
子供達の物も
柚子の物も処分して貰って良い
と、言われた。

お義兄さんは、子供達とも柚子とも
話せて·····と、思うが
全て自分がしでかした事だ。

全ての手続きが終わり
俺は、元義兄である
葉山弁護士にお礼を伝えて

柚子が出てから
初めて実家へ帰った。

俺の顔を見た瞬間
父親に殴られた。
俺は、土下座をして二人に詫びた。

子供達は、両家の両親と
連絡をとっているみたいだ。
「お父さんの事に
おじいちゃん、おばあちゃんは
関係ない。」
と、言ったらしい。

父から、
「柚子さんから
螢斗さんを叱らないで欲しいと
言われた。
あんなよい嫁はいない・・・」
と、淡々と言われた。

その日は、母さんが
「夕飯を食べて行くように」
言ってくれて
一緒に食べた。

その時······

子供達の様子や
柚子の話を聞いた。

子供達は、仕事は大変だけど
頑張っているようだ。

よく、両家のおじいちゃん、
お婆ちゃんに
会いに来ていること。
柚子も、連絡をしてくれると
話してくれた。

柚子も、今看護師として
頑張っていると言っていた。

なんだか、とても嬉しかった。
心が温かくなっていた。
不思議だ。

家の売却も終わり
荷物の処分も終わり家の前に
佇むと涙が溢れた。

こうなったのは
全て俺のせいだ。

一度 頭を下げてから
その場を後にした。

後の全て葉山弁護士に
おまかせして
俺は九州へと飛んだ。

社長、副社長、平田弁護士に
全て終わった報告をして
もう一度、頑張って見ますと
伝えた。

あの後
市川がどうしたのかは知らない。
知りたいとも思わなかった。
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