なれたなら。ーさよなら、私の大好きな人ー




ちゃんと寝てるの?って聞いても大丈夫の一点張りで。




大丈夫と言われてしまえばそれ以上は何も言えない。




でもなんで深侑が寝不足になっているのか、大体予想はつくんだ。




この時期になると深侑はいつも寝不足になる。




それは………



「きっとお姉ちゃんの命日が近いからだと思う」


「そう、なんですか……?」




少し目を丸くする葵ちゃんを見て首を縦に振った。




深侑はお姉ちゃんの命日が近付くにつれて寝不足になる。
きっとお姉ちゃんが亡くなった時のことを思い出しては一人悲しんでいるんだ。




この前だってお姉ちゃんの話をしたら寂しそうに私に抱きついてきたし。




まだ深侑が悲しんでいるということは、私じゃまだお姉ちゃんのいなくなった穴を埋められていないということ。




お姉ちゃんの代わりになるにはまだ足りない部分がある。




ねぇ、深侑。
どうしたらあなたは悲しまずに私に微笑んでくれるの?




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