なれたなら。ーさよなら、私の大好きな人ー
【葵side】
「起立。礼。」
「ありがとうございました」
授業終了の挨拶をして席に座る。
ふとあいつの席を見れば挨拶すらせずに机に伏せて眠る栗毛の大型猫がいた。
……また寝てる。
前の席に座って奴の机に頬杖をつく。
「…深侑。ねぇ、深侑ってば」
「………」
アタシのことなんかガン無視。
ここんところ毎日そうなんだけどさ。
さすがに無視される日が続くとこっちも腹が立ってくるんだよね。
アタシは足を組んでスマホを取り出した。
「そういえば昨日さ、ランチ行ってきたんだ~。
夏生センパイちょー可愛かった~」
「…っ、夏生と?」
夏生センパイ。
この名前を出せば深侑は絶対に起きると思ってた。
てかいきなり起き上がるからびっくりするじゃん。