なれたなら。ーさよなら、私の大好きな人ー
『夏生。あたしね?深侑と付き合うことになったんだ』
お姉ちゃんに数週間前に言われた言葉を思い出す。
頬を少し赤くして照れたように微笑むお姉ちゃんをあの時初めて見た。
どちらかといえば男勝りなお姉ちゃんだったから、恋をしてる女性のお姉ちゃんは可愛くて。
そんな深侑の愛しい人を私が奪ってしまった。
私が今日に産まれてきてしまったがために。
深侑には悲しい思いをさせたくなかった。
それなのに私のせいで悲しませてしまった。
どうして…どうして今日という日に産まれてきてしまったんだろう。
この日から私の誕生日は"最高の日"から"災厄の日"になった。
そして私は深侑の大切な人を奪ってしまった罪を償うために私の一生をかけて深侑の隣にいることを誓った。