キライ、じゃないよ。
戻れない時間

mamori.5





樫を見送って、タクシーを拾う為に道路沿いに出た。

空車が見つからなければ電話をして呼んでもいい。

そう思って左右へ目を凝らしていると、肩をポンと叩かれた。


「原川さん?田淵さんも……」


食事が終わってから出て来たのだろう、2人の姿を見て、ほんの少し戸惑った。

樫から話は聞いたけれど、田淵さんからすれば面白くない状態だと思う。

付き合ってはいないと言う樫の言葉を信じているから、そんなに申し訳なく思う必要もないのかもしれないけど。

原川さんの後ろからこちらを見る目には敵意が滲み出ている。

やっぱり、気分良くないよね。あんな風に二人で出て行ったこと。


「あらー、樫くんは?」


酔っ払っているのかと思うような、間延びした原川さんの声に、樫は仕事に行ったと伝えると、呆れたような声を上げる。


「樫くん、最低。こんな時間に女一人にしてさー。この辺り酔っ払い多いのに」

「急な仕事だもん。仕方ないよ。タクシーで帰るから大丈夫」

「タクシーで帰るくらいなら、一緒に帰ろうよ。車で送るから」


かなり酔ってるのに車の運転なんてするつもりだろうか?危ないし、乗りたくないし、運転して欲しくない。

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